AGAの治療を始めてから、ネットやクリニックでいろんな言葉を耳にするようになりました。「フィナステリド?DHT?初期脱毛って怖いやつ?」……最初は正直、何がなんだか分からず戸惑うことばかり。
このページでは、私自身が悩みながらも調べたり、お医者さんに聞いたりしてようやく理解できたAGAに関する用語を、自分の言葉でまとめてみました。
あくまで“素人目線”ですが、これから治療を始める方や、いま同じように悩んでいる方の参考になれば嬉しいです。
AGA治療に関連する主な用語
ヘアサイクル
髪の毛は「成長期」「退行期」「休止期」「脱毛」という4つの周期(ヘアサイクル)を繰り返しています。通常は成長期が最も長く、髪が太く伸びる期間ですが、AGAが進行すると成長期が短くなり、髪の毛が十分に育たないうちに抜けてしまう状態になります。これが細く短い毛が増える原因です。
DHT(ジヒドロテストステロン)
DHTは、AGAの主要な原因とされる男性ホルモンの一種で、テストステロンが5αリダクターゼという酵素の働きで変化したものです。DHTは毛乳頭細胞の受容体に結合し、ヘアサイクルの成長期を短縮させる作用があります。これにより髪が育ちにくくなり、結果として薄毛が進行します。
テストステロン
テストステロンは男性ホルモンの代表的存在で、筋肉の発達や骨格形成、性欲の維持などに関わっています。このホルモン自体に悪影響はありませんが、頭皮の特定部位では5αリダクターゼの作用によりDHTに変換され、毛根にダメージを与えるため、AGAとの関連性が指摘されています。
5αリダクターゼ
これは、テストステロンをDHTに変換する酵素で、特に頭頂部や前頭部の毛根に多く存在しています。タイプ1とタイプ2の2種類があり、AGA治療ではこの酵素の働きを抑える薬(フィナステリドやデュタステリド)が用いられます。つまり、DHTの生成を抑制することで、薄毛の進行を抑えることが期待されます。
ハミルトン・ノーウッド分類
この分類法は、AGAの進行度をI型からVII型までの7段階で表したものです。I型は軽度の生え際の後退から始まり、VII型では頭頂部と前頭部の髪がほとんど失われる状態になります。治療の必要性や方法を判断するための基準として、医療現場でも広く使われています。
遺伝要因
AGAは遺伝の影響が大きいとされています。家族、特に父親や母方の祖父に薄毛の傾向がある場合、遺伝的にAGAを発症しやすい可能性があります。ただし、必ず発症するとは限らず、生活習慣やホルモンバランスも大きく関係しています。
M字型・O字型・U字型
AGAの進行パターンは大きく分けてこの3つに分類されます。M字型は生え際が左右から後退していくタイプ、O字型は頭頂部が円形に薄くなるタイプ、U字型は前頭部から頭頂部全体にかけて薄毛が広がるタイプです。進行具合に応じて複合的な形になることも多く、診断や治療の参考になります。
AGA治療で使用される主な薬と成分
フィナステリド
フィナステリドは、AGA治療の中心的存在であり、内服薬として処方されることが多い有効成分です。この成分は5αリダクターゼ(特にタイプ2)という酵素の働きを阻害し、テストステロンからDHTへの変換を抑えることで、脱毛の進行を防ぎます。
多くの臨床研究により、AGAの進行を食い止める効果が科学的に示されており、継続して服用することで抜け毛の減少や現状維持が期待されます。ただし、効果が現れるまでに数ヶ月かかるため、継続的な服用が基本となります。
ミノキシジル
ミノキシジルはもともと高血圧治療薬として開発された成分ですが、頭皮の血管を拡張し血流を促進することで発毛を促す作用があるとされ、現在では外用薬(塗り薬)として広くAGA治療に用いられています。
日本では市販の発毛剤にも含まれており、比較的手軽に使用できますが、継続使用が必要であり、使用初期に一時的な「初期脱毛」が起きることもあります。内服型ミノキシジル(いわゆる“ミノタブ”)もありますが、国内では未承認であり、使用には十分な注意と医師の判断が必要です。
プロペシア
プロペシアは、世界で初めてAGA治療薬として承認された医薬品で、主成分はフィナステリドです。1日1錠の服用でDHTの生成を抑制し、AGAの進行を抑える効果が期待されます。
臨床試験により、継続使用で多くの男性に抜け毛の減少が見られたというデータがあり、日本でも医師の診察により処方されます。副作用として性欲減退などが一部報告されていますが、発生頻度はごくわずかとされています。
ザガーロ
ザガーロは、デュタステリドという成分を含むAGA治療薬で、フィナステリドと同様にDHTの生成を抑える作用を持ちますが、5αリダクターゼのタイプ1およびタイプ2の両方を抑制できるため、より広範囲に強力なDHT抑制が可能です。効果も高い一方で、フィナステリドよりも副作用の報告数がやや多いため、服用前には医師との相談が推奨されます。ザガーロは特に進行したAGAの方に用いられることが多い薬剤です。
デュタステリド
デュタステリドは、ザガーロの有効成分であり、フィナステリドよりも強力にDHTを抑えることができるとされる成分です。5αリダクターゼの両タイプに作用し、毛根に届くDHTの量を大幅に減らすことが可能です。効果が高い反面、性機能への影響や肝機能障害などの副作用が起こることもあるため、慎重な経過観察が必要です。比較的新しい成分であり、今後の長期的データも注目されています。
ジェネリック医薬品
先発薬(例:プロペシアやザガーロ)と同じ有効成分を含みながら、価格が安く抑えられている後発薬のことをジェネリック医薬品と呼びます。効果や安全性は基本的に同等とされており、継続治療が必要なAGAにおいて、費用負担を抑えたい方にとって非常に有力な選択肢となります。医師に相談すれば、ジェネリックを処方してもらえる場合もあります。
外用薬
頭皮に直接塗布して使用するタイプの治療薬。主にミノキシジルを成分とするものが多く、育毛剤・発毛剤として販売されています。外用薬は血行を改善し、毛包に栄養を届けやすくすることで発毛を促進します。刺激感やかゆみなどの副作用が出ることもあるため、肌に合うかどうかを確認しながら使用することが大切です。
内服薬
口から摂取するタイプの治療薬で、主にフィナステリドやデュタステリドなどDHTの抑制を目的とするものが一般的です。外用薬に比べて全身的に作用するため、より高い効果が期待できますが、副作用のリスクも伴います。医師の診察と定期的なフォローアップが必須です。
AGA診断・治療のプロセスに関する用語
オンライン診療
オンライン診療とは、スマートフォンやパソコンを使って、医師の診察やカウンセリングを非対面で受けられる仕組みです。自宅にいながら予約、問診、診察、薬の処方まで一連の流れを完結できるのが最大の利点で、特に「クリニックに行くのが恥ずかしい」「忙しくて通院の時間が取れない」といった人に好評です。診療内容によっては薬の配送も可能で、AGA治療を手軽に始めたい人にとって心強い選択肢となっています。
問診
AGA治療においての問診とは、医師が患者の現在の脱毛状況や家族歴、生活習慣、既往歴などを聞き取り、適切な診断と治療計画を立てるための初期ステップです。オンライン診療では、事前に用意された問診フォームに入力するケースも多く、頭皮の写真を送信して状態を確認することもあります。正確な情報提供が、最適な治療方針の決定に大きく関わります。
初期脱毛
初期脱毛とは、AGA治療を開始して間もない時期に、一時的に抜け毛が増える現象のことです。特にミノキシジル系の薬を使用した際に多く見られ、「薬が効いていないのでは?」と不安になる方もいますが、これは新たな発毛サイクルに切り替わる過程であり、むしろ治療が効き始めているサインとも言われています。数週間から1か月程度で自然におさまり、その後に発毛が見られるケースもあります。
AGAスコア
AGAスコアとは、医師やカウンセラーが患者の頭部を観察し、薄毛の進行度合いを評価するために用いる指標のことです。ハミルトン・ノーウッド分類や独自の評価法が使われ、治療開始前に「どのくらい進行しているか」を数値化して把握することで、治療内容や期待できる効果の見通しが立てやすくなります。
処方薬
AGA治療において処方薬とは、医師の診断を経て個別に選ばれる医療用の内服薬や外用薬のことを指します。代表的なものとして、フィナステリド、デュタステリド、ミノキシジルなどがあり、患者の体質や症状の進行度に応じて処方内容が変わります。医師の判断による適切な処方は、効果の最大化と副作用のリスク回避の両面で重要な意味を持ちます。
継続治療
AGA治療の大原則として「継続」が挙げられます。髪の毛はすぐに生えるものではなく、ヘアサイクルの都合上、治療効果が現れるまでには3~6か月、あるいはそれ以上の期間がかかります。また、治療を途中でやめると再び脱毛が進行する恐れがあるため、医師の指導のもとで定期的な診察と投薬を継続することが大切です。
AGAに関する補助療法・生活習慣に関する用語
自毛植毛
自毛植毛とは、自分自身の健康な毛髪(通常は脱毛の影響を受けにくい後頭部や側頭部)を、薄毛が目立つ部分に移植する外科的治療法です。
移植された毛根が定着すれば、自然な毛髪として一生伸び続けるのが特徴で、「生え際の再生」や「薄毛の密度改善」を目的に多くの男性が選択しています。費用は高額ですが、医薬品では難しい部分への直接的な対応が可能で、他の治療と併用することでより高い満足度が得られることもあります。
メソセラピー
メソセラピーは、成長因子やビタミン、アミノ酸などを配合した育毛カクテルを頭皮に直接注入する治療法で、注射やダーマペン、エレクトロポレーションなどの技術が用いられます。
薬の服用や外用薬とは異なり、毛母細胞にダイレクトに働きかけることができるのが特徴です。ただし自由診療のため費用が高めで、複数回の通院が必要な場合もあります。体質による効果の差があるため、医師との相談が重要です。
サプリメント
AGAの補助として用いられるサプリメントには、亜鉛、ビタミンB群、ノコギリヤシ、L-リジンなど、髪の成長や頭皮の健康をサポートする栄養素が含まれています。
あくまで「補助的役割」であり、単独での発毛効果は限定的ですが、薬と併用することで頭皮環境の改善を助けることが期待されます。過剰摂取や体質による反応もあるため、適切な量を守ることが大切です。
シャンプーケア
AGA対策の一環として、市販の育毛シャンプーや薬用シャンプーを使うこともあります。これらは頭皮の汚れや皮脂を落とし、毛穴の詰まりを防ぐことで、育毛環境を整える役割を担っています。血行促進成分や消炎作用のある成分が配合されているものもあり、頭皮トラブルの予防にも有効です。ただし、発毛効果自体はなく、治療薬との併用が基本となります。
睡眠と食事
睡眠不足や栄養の偏りは、AGAの進行を加速させる要因の一つです。髪の成長ホルモンは主に睡眠中(特に22時~2時)に分泌されるため、十分な睡眠時間と規則正しい生活リズムが必要です。
また、亜鉛・たんぱく質・ビタミン類をバランス良く摂取することで、毛根への栄養供給がスムーズになり、薬の効果も最大限に引き出されます。日常生活の見直しも、AGA治療の一環として非常に重要です。
AGA治療に関連する副作用・注意点に関する用語
性機能低下
フィナステリドやデュタステリドなど、DHTの生成を抑制する内服薬では、ごく一部のユーザーにおいて性欲減退、勃起機能の低下、射精量の減少などの性機能に関連する副作用が報告されています。
発症率は非常に低いとされていますが、精神的な不安や自己暗示によって強く感じるケースもあるため、心身のバランスを保ちながら使用することが大切です。副作用が気になる場合は、医師に相談の上で薬の変更や減量を検討することができます。
肝機能障害
AGA治療薬、とくに内服薬は肝臓で代謝されるため、まれに肝機能に影響を与えることがあります。通常の使用では深刻な影響は稀とされていますが、持病のある方や、他の薬を併用している場合には注意が必要です。AGA治療を長期にわたって継続する際には、年に1回程度の血液検査を通じて、肝機能のチェックを受けることが推奨されます。
禁忌(妊婦)
フィナステリドやデュタステリドなどは、妊娠中の女性が触れたり吸入したりすることによって、胎児(特に男性胎児)の外性器の正常な発育に影響を与える恐れがあります。
妊婦や妊娠の可能性がある女性は絶対にこれらの薬剤に接触しないよう厳重な注意が必要です。錠剤はコーティングされているため通常の使用では問題ありませんが、割ったり砕いたりするとリスクが高まるため注意が必要です。
アレルギー反応
AGA治療薬や育毛剤に含まれる成分に対して、かゆみ・発疹・赤み・腫れなどのアレルギー反応を示す場合があります。特にミノキシジルを含む外用薬は皮膚への刺激を感じることがあり、敏感肌の方やアレルギー体質の方は使用前にパッチテストを行うと安心です。異常を感じた場合はすぐに使用を中止し、医師の診断を受けましょう。
自己判断による中止
AGA治療は継続が基本ですが、副作用や一時的な変化(初期脱毛など)に不安を感じて、自己判断で治療をやめてしまうケースがあります。しかし、途中で中止すると症状が再び進行し、これまでの治療効果が失われてしまう可能性があります。不安や違和感を覚えた際は、自己判断せずに必ず医師に相談し、今後の治療方針を話し合うことが大切です。
ご注意と参考情報について
この用語集は、AGA治療中の筆者(医師・薬剤師ではありません)が、実体験や一般公開されている情報をもとに個人的にまとめたものです。できる限り正確さを心がけてはいますが、医学的な専門性・最新性を保証するものではありません。
治療や薬に関する判断は、必ず医療機関の診察を受けたうえで行ってください。
疑問や不安がある場合は、自己判断せず、専門の医師や薬剤師に相談することを強くおすすめします。